ひだまり
「先生、何してる?」

「ご飯食べた??」

それからは、何度も電話した。

毎日何度も………。

彼女が、オレの電話を日常に感じるように。

もちろん、彼女の番号は登録済みだ。彼女にも……登録してもらった。

始めは緊張し、遠慮していたけど…

3日もしたら、すっかり慣れて………

園では決して見せない姿を話して………楽しませてくれる。

子供の事、先生に憧れた理由。

小さい頃の話し……自分が好きなことや楽しいこと。

以外におしゃべりが好きで……

だから余計一人の淋しさを感じるのだと気づいた………。

オレの事も…よく見てる。

オレの知らないオレを指摘されて、びっくりする。

「先生って……甘いものが苦手ですか?」

「どうして?」

「クリスマス会のケーキ。
スプンにのせて、一瞬……目をつむって……
それから……"エイ!"って勢いをつけて食べられてたから。」と。

たしかに苦手だが、園でもらうおやつを食べるからか

先生達は気づいていない。

その証拠に、オレのクリスマスケーキは…………特大だった。

イジメじゃないなら……

男のオレに、気を使っての特大だ。

鋭い指摘をしたかと思うと

「先生はほっとけないよ。だから、ついつい気になってしまう。
他の先生達より、ちょっとだけひいきしてるよ。」と結構分かりやすくアピールしても

「四人も妹も、友達もみんな妹扱いするんです。心配みたいで……。
しっかりしないとダメですね。」とキレイにスルーされてしまう。

噛み合わない会話すら、愛しくて。

彼女を守りたくて始めた電話は……

今はオレの一番大切な時間になった。
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