誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「すっ……すみません……っ……私、本当に……」
落ち着かなければと思えば思うほど、気持ちが焦る。
ちゃんとできない自分に苛立ちが募る。
(私、なんでちゃんとできないんだろう……!)
情けなくて、死にたくなる。
だが、閑は
「いいから。深呼吸して」
静かな声でそうささやくと――そのまま片腕で、小春の肩を抱き、突然、彼の胸に引き寄せたのだった。
「あっ……」
彼と知り合って二年近く。こんなに近づいたのは初めてだった。
突然の小春は息を呑むが、閑は冷静だった。
「ゆっくり。ほら、深呼吸……」
強張る小春を包み込むようにして抱きしめ、耳元でささやく。
「なにも怖いことは起こらない。俺が側についてるから……大丈夫だ」
穏やかな声はいつもと変わらない。
そう、変わらないけれど、声が近い。
抱き締められているせいか、直接声が体に伝わってくるような、不思議な感覚になる。
(……ほんとに、大丈夫なの……?)