誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「えっ……まぁ、確かにその頃は百四十センチくらいしかなかったけど……」
今より十センチ以上低かったのだ。
しかも痩せていたから、小学生にしか見えなかったのも仕方ない。
「だろ? 大きくなってよかったよなぁ」
虎太郎は切れ長の目を細めて、にんまりと笑うと、ひらひらしていた大きな手で、愛おしそうに小春の頭をクシャクシャと撫でる。
「もーっ……子ども扱いして」
小春は笑いながら、それを避けて、そのままぱくりと、虎太郎の箸でぶり大根をつまんで口に入れる。
「お前、メシ食ってないの?」
「食った」
「こら。食ったじゃないだろ? 新しいの持ってきなさい」
ふざけた小春に、妙にまじめぶった表情の虎太郎が、メッと叱る顔になる。
虎太郎は見た目がオオカミで、目つきも口も悪いのだが、なんだかんだ言って中身はおぼっちゃまなのだ。
「はぁい」
小春は笑ってうなずき、新しい箸と取り皿を持ってきて、隣に座りなおした。