誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「え……?」
小春は驚いて目を丸くする。
大事な女性――。
依頼人の関係者のことを、そんな風に言うだろうか。
いや、そうじゃない。虎太郎は『閑個人』に小春がどういう存在なのか、尋ねた。
その答えが、『大事な女性』なら、それは――。
小春の心臓が、早鐘を打つ。
(まさか、そんな……ね……)
そんなはずがない。あるわけがない。自分にそんな価値があるとはとうてい信じられない。
期待なんかしたくない。持ち上げられて、落ちるのが怖い。
小春はぐらつく気持ちを否定することで、平静を保とうとしたのだが。
「――ハッキリ言えよ」
虎太郎がさらに挑発して、眩暈がした。
「おっ、兄ちゃんっ……」
いてもたってもいられなくなった小春が、椅子から立ち上がるのと、閑が立ち上がるのは一緒だった。
「今から彼女に告白するから、悪いけど出て行ってもらえるかな!」
その言葉は、閑から虎太郎に向けられたもので。
「ええっ!!」
また小春は驚きのあまり、声を上げたが、閑は唯一椅子に座ったままの虎太郎を、唇を引き結んだまま、見下ろしている。