誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 だが虎太郎は、腕を叩かれながらも、視線はまっすぐに閑に向かっていた。

「つーか、神尾さん。あんた、小春のなに? どういう関係?」
「おっ、お兄ちゃん!?」

 小春は椅子から飛び上がらんばかりに驚いてしまった。

「なにって、ほら、この店の権利関係をお願いしてる弁護士の――」
「お前には聞いてない。少し黙ってろ」

 ぴしゃりと虎太郎は言い放ち、持っていた箸を置くと、こめかみのあたりを指で押さえながら、ため息交じりにテーブルの上に肘をつく。

「中本さんが世話になっている弁護士なのはわかった。だがそういう話をしてるんじゃない。あんた個人にとって、小春がどういう女なのか、それを聞いてる」
「……」

 その瞬間、閑の目にまた光が差した。
 攻撃的ではない。強い意志のような光だ。

 だが小春はたまったものではなかった。
 黙っていろと言われて、黙っていられるはずがない。

 もうやめてと口にしようとした瞬間、

「俺にとって、なくてはならない、大事な女性だ」

 閑はきっぱりと、言い切ったのだ。

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