誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
(私……本当にこの人が、好きだ)
小春の胸に、確信のような思いが広がる。
自分の気持ちは、今まで自分ひとりのものだった。
静かな水面に小石を落とせば、波紋が広がる。誰かの心を揺らして、自分に返ってくることが怖かった。
かつて小春を置いていった母のように、愛されもしないのに、誰かを好きになって、拒絶されるのが怖かった。
(この恋の先にあるものは、まだなにかわからない……だけど……。私は今、すごく……すごく……幸せだ)
そう、幸せだった。
好きな人に好きと言えた自分が、恥ずかしくも、誇らしくもあった。
(こんなこと、みんな普通に、できていることかもしれないけれど……他人から見たら、ばかみたいなことかもしれないけれど……それでも私には、一大決心なんだ……)
「小春……」
もう、“小春ちゃん”ではなかった。
シンプルに名前を呼ばれて、胸がギュッとしめつけられる。
「はい……」
小春は涙をこらえてうなずいた。
うなずいた小春の唇が、閑によってふさがれる。
食堂でいきなりキスされたときとは少し違う。