誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 小春はふうっとため息を吐いた。

 小さい頃から、父は仕事一筋で厳しい人だったが、一方娘に対してはかなり過保護だった。

 離婚して、父ひとり子ひとりになったせいもあるかもしれない。徳島に引っ越してからは、エスカレーター式の私立女子校に小春を進学させ、年頃の男性に近づかせなかった。
 大学卒業後も、自分の目の届く範囲にいてほしいと、口に出してお願いされたくらいである。

「東京に出てくるのも、ほんと苦労したんだから。きっと美保(みほ)さんがいなかったら、許してくれなかったと思うわ」

 家を出たいと言ったときは、即座に『却下』された。

 それでも辛抱強く説得を重ね、最終的に、再婚相手である美保が、小春の味方になってくれて、父の説得に成功したのだ。それでも、ひとり暮らしは危ないからと許されず、父の親友の家に間借りすることでなんとか許可を得たのだ。


< 195 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop