誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「でもさ、キミちゃん。私、子供の頃から、家族ですら、クリスマスを一緒に過ごしたことがないじゃない? お父さんはずーっと仕事でおうちで留守番だったし。中学生くらいの頃は、友達とパーティーしてたけど、高校生にもなったら、みんな彼氏と過ごすようになるし。大人になったら、今度はレストランの手伝いだし」
『だから別に、クリスマスは普通でいいってこと?』
「うん……」
経験がないからピンとこないのもあるし、そもそも閑の最近の忙しさを見ている小春としては、クリスマスのために特別に何かをしてほしいなど、思わない。
「っていうかね、私は、普通に好きな人と過ごせるだけで、すごく幸せっていうか……それだけで充分なの」
それは小春の、嘘偽りない、素朴で素直な気持ちだったのだが――。
「――かわいくて死にそう」
と、ふいに近くで声が響いて。
「きゃっ……!」
驚いて体を震わせた小春の背後に、なんと閑が立っており、そのまま後ろから引き寄せるように抱きしめてきた。
朝食を終えた彼は、身支度を整えていたはずだご、戻ってきたらしい。上等な三つ揃えに体を包んだ彼からは、シャワーを浴びたばかりのせいかふんわりとボディーソープの香りが漂う。