誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「……それは」
閑はしらじらしく視線を逸らした後、そっとつかんでいた手を離す。
どこからどう見ても閑は打ちひしがれていた。
小春の指摘に、心当たりがあるのかもしれない。犬はまだしも、猫あたりは構われすぎると逃げると聞いたことがあるので、猫あたりには、本当に嫌われていたのだろうか。
だが背の高い彼にしょんぼりされると、悲壮感がすごい。とたんに罪悪感が襲ってきた。
(言い過ぎたかも……)
ものすごく悪いことをした気分になった小春は、慌ててコホンと咳ばらいをして、首を振った。
「あ、あの、前も言ったと思いますけど、私が閑さんを嫌いになるなんて、ありえないです。その……」
そして小春は両手で閑の頬を包み込み、顔を覗き込む。
「意地悪言って、ごめんなさい」
「小春……」
閑はホッとしたように微笑み、それからそのまま顔を少しだけ近づけた。
「じゃあ、小春からキスしてくれたら許す」