誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 東京に残ると決めてから、小春の周囲は慌ただしかった。
 大将が退院しても、【なかもと食堂】は、いきなり閉店ということにはならなかった。昼だけの営業、そして年内いっぱいと決めて、体調と相談しながらということになった。

『ごめんね、小春ちゃん。迷惑かけるわね』
「そんなことないよ。キミちゃんには、小さな赤ちゃんがいるんだもの。来られなくたって仕方ないよ。無理しないで」

 ランチタイムを終えた小春は、スマホをカウンターに置いたまま、ハンズフリーで希美と通話をしながら、ひとりで流し台で洗い物をしていた。

 希美はロンドンで結婚し、子育てに仕事に忙しい。中本が倒れたとき、なんとか都合をつけて帰国しようとしたのだが、小春が、『自分が側についているから、大丈夫だ』と、伝えている。

「おじさん、ビックリするくらい元気いっぱいだし。有終の美を飾るんだって、張り切ってるくらいだし」
『まったくもう……年寄りの冷や水にならなきゃいいけど』

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