誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 バスに乗り込むと、少し眠気が襲ってきた。ここまで帰ってきたことで、少し気持ちが楽になったのだろう。

(少し目を閉じていよう……)

 発車したバスの心地よい揺れに身を任せ、小春は目を閉じた。




 ――懐かしい夢を見ていた。

 学校から帰ってきたばかりらしい、セーラー服姿の中学生の小春が、夕暮れ、膝の上にアルバムを広げて、ぼうっと家族の写真を眺めている。

 おそらく、手つかずだった荷物の整理をしていて、アルバムを発見したのだろう。
 そのアルバムは当然小春の成長記録でもあるのだが、時折若い両親の姿もあって、少し不思議な気分になり、ついまじまじと眺めてしまっていたのだった。

(お母さん、笑ってる……こんな時期もあったのにな……)

 当然、小春が生まれたばかりの頃は、両親の距離が近いことがその空気から伝わってくる。

 小春はアルバムをパタンと閉じて、また段ボールの中にしまいこんだ。
 さすがに見ていられない。そう思った。

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