誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
窓の外は二年前に出て行った時となにもかわらない、いつもの街並みが広がっている。
腕時計を見たが、駅につくにはあと十分ほどかかりそうだ。
明後日はクリスマスイブだ。街中に近づくにつれて、イルミネーションの装飾が華やかになっているのを見ると、小春の胸も少しだけ元気を取り戻していた。
スマホを取り出して、パシャリと窓の外の景色を撮り、閑に送る。
【無事着きました。こっちもイルミネーションがきれいですよ】
向こうも、たまたまスマホを見ていたのだろう。すぐに既読になり、【お疲れさま。夜電話するね。なんかもうめちゃくちゃ声が聴きたい】と、いうメッセージが返ってきて、小春は頬が緩んだ。
(とりあえず、帰ったらまず美保さんに話を聞いてみよう)
あのメッセージ以降、義母から連絡はないが、まだなにもわからない段階で、あれやこれやと邪推するのはよくない。
そして問題が解決すれば、すみやかに帰ることもできるし、クリスマスを閑と過ごせるはずだ。
(大丈夫、大丈夫……きっとなにかの誤解に決まってる)
スマホをまたバッグにしまい込んで、小春は背筋を伸ばし、唇を引き結んだ。