誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

「なんだじゃないよ、お父さん。これ、どういうこと? どうして美保さんがここにいないの?」
「……美保と連絡を取ったのか」
「取ったって言うか、昨日、メッセージ貰っただけ。その後連絡してるけど……全然、返事はないし、電話も出てもらえない」
「そうか」

 佑二は軽くうなずいて、着ていたコートを脱ぎソファーの背もたれにかける。

「いったい何があったの? 美保さんとどうなるの? まさか本当に離婚しちゃうの!?」

 小春の剣幕とは裏腹に、父は大きな手で自分の頭をつかんで、こみかみのあたりを押さえて黙っている。父は片頭痛持ちなので、昔からよく見た風景だった。幼いころ、小春はそんな父がかわいそうで、よく肩や首をもんであげたものだ。

 だが、今は両親の離婚の危機なのだから、そんなことを懐かしんでいる余裕はない。

「お父さん、なんとか言ってよ!」

 すると佑二はソファーに腰を下ろして、苦虫をかみつぶしたような表情のまま、首を振った。

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