誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「小春は関係ない」
「――は?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
それもそうだろう。この状況でそんな態度を取られるいわれはない。
「なに言ってるの、お父さん」
小春は唇をわななかせる。
「美保さんは私のお母さんだよ。家族でしょ。関係ないわけないでしょ」
一緒に暮らした期間は短いが、それ以前に父のレストランで一緒に働いていたのだから、彼女のひととなりはそれなりに知っているつもりだ。
「いったいなにがあったの」
十年前、両親の離婚話は事後報告だった。
好きな人が出来たからと出て行った母にも、それを黙って受け入れた父にも、なにも言えなかった。
だが今日は違う。小春は一歩も譲るつもりはなかったのだが。
「――これはお父さんと美保の問題だ。小春に話せるようなことは何もない」
佑二はそうぴしゃりと言い放つと、すっくとソファから立ち上がって、自分の部屋へと向かう。