誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「えっ……ちょっと、お父さん!?」
慌てて追いかけたが、ドアは目の前でぴしゃりと閉められる。すぐにノブに手をかけたが、どうやら鍵をかけたようだ。
ガチャガチャとノブを回す、虚しい音だけが寒々しい廊下に響いて、小春は眩暈がした。
「――嘘でしょ……」
ほんの少しの間、小春は事実を受け止めきれず呆然と廊下に立ち尽くしていたが、次第にだんだん腹が立ってきた。
聞かれたくないことから逃げて、いったい何になるというのだ。
だが同時に、こういうところは自分は父に似たのかもしれないと、情けなくもなる。
「それでもっ……鍵を……かけるなんて……子供みたいなことしてっ……! お父さんの、馬鹿っ!」
力いっぱい叫んだ後、小春は自分の部屋に戻ってボストンバッグをつかみ、マンションを飛び出していた。
「最低、さいてーい!」
(もうっ……なんなの!? ほんと、意味わからない!)