誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
学生の頃の友人に連絡を取ることも考えたのだが、さすがにこの時間に連絡することはできない。結局、駅前のビジネスホテルに飛び込むしかできなかった。
「空いててよかった……」
深夜二十四時を過ぎても、部屋さえ空いていれば泊まることが出来るらしい。
小春は狭いシングルベッドに、そのまま身を投げ出すようにしてダイブする。
「うー……」
ホテルならではの弾力のあるベッドは気持ちよかったが、ふとした拍子に、頭の中に、仏頂面で『関係ない』と口にした父の顔が思い浮かぶ。
胸の奥がザラついて、吐き気がする。
思いだしたくないのに、考えずにはいられない。
「む……ムカつく……」
思わずそんなことを口走っていた。
父には父の考えがあるのだろう。
きっと父は、あれでも小春を守っているつもりなのだ。
たぶん何か面倒なことが起こっているから、娘と距離を置きたいだけなのだ。
普段溺愛されている自覚があるから、そのくらいの想像はできる。