誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「し、閑さんったら……」
閑の甘いささやきが、小春の全身に痺れのように広がっていく。
顔が赤くなっていくのがわかる。
そんな場合じゃないと思うのに、胸が甘くときめいてしまう。
(もう! 朝から、閑さん、甘すぎる……! そんなことを言われたら、私だってすぐに、閑さんのもとに飛んで帰りたくなってしまうじゃない……)
もじもじしながら、手のひらで顔を仰いでいると、
【で、昨晩はどうだった?】
閑が本題とばかりに尋ねてきて、小春も我に返る。
そうだった。浮かれてはいられない。
「あ……それなんですけど。帰ってきたお父さんに聞いても、関係ないって、それだけで。私になにも話すつもり、ないみたいなんです」
【え、関係ない?】
「そうなんです。ないわけないじゃないって言ったんですけど、逃げられて……」
かたくなに娘を拒絶する、バタンと閉じられたドアのことを思いだすと、小春はまた腹が立ってきた。