誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
『――神尾さん? 中本の娘の、希美です。父から話は聞きました。電話でしかご挨拶できないのが申し訳ないのですが、お世話になります』
閑が来たことに気づいたらしい。希美の呼びかけに、閑がカウンターテーブルの上に置いているスマホに視線を向ける。
「希美さんですね。ご挨拶が遅れました。神尾閑です。槇法律事務所所属の弁護士です。中本さんの店舗の権利回り含め、私が担当させていただくことになりました」
『ええ。ありがとうございます。常々父から、お世話になっていることは聞いていました』
そして希美は、一息ついて補足する。
『あと、ついでというわけではないんですが、小春は私の妹同然なんです。この子のことも、よろしくお願いいたします』
「えっ、キミちゃんっ!?」
突然の自分の話題に、小春は飛び上がらんばかりに驚いたが、
「ええ、勿論です。お任せください」
という閑の答えに、小春はなんと言っていいかわからんず、顔を真っ赤にしてしまった。
それから、スマホの向こうから、赤ちゃんが泣く声が聞こえた。