誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
『ごめんなさい、うちの子だわ。じゃあまた連絡するわね。小春、話はまた今度にでも』
「う、うん……じゃあキミちゃん、またね」
結局、困ったことの内容は伝えられないまま、電話は終了してしまった。
「――お茶を淹れますね」
最後のお皿を拭き終わった小春は、ガスにやかんをかける。
「ありがとう」
閑は慣れた様子で、いつものカウンター席の一番端に座ると、持っていた封筒をテーブルの上に置いた。
「それでね。あれからいろいろ調べたんだけど……やはりセキュリティが一番大事だと思うんだよ」
「はぁ……」
小春はうなずきながら、内心どうしたものかとカウンター越しに閑を見下ろした。
東京に残ると決めてから、閑は大将の店の権利関係の処理と同時進行で、小春の行く末にも気を配るのが使命と思っているようだ。
目下の問題は、今までこの食堂の二階部分に間借りしていた小春の住む場所らしい。
「まず、建物が四階以上であること。侵入強盗は、やはり三階以下の建物が狙われやすいんだ。それで、テレビモニター付きインターフォン、オートロック、駅から近いこと、周辺の環境がよいこと……治安がある程度よいとされる場所であるのは大前提だけどね」