誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
【大事なことは、自分に限らず、誰だって失敗すると認識しておくことじゃないかな】
「誰だって……?」
【そう。完璧な人なんていない】
「私も……お父さんも」
【うん、そうだ。どんな人だって、その失敗を乗り超えて、やり直せるんだよ】
その声を聞いた瞬間、小春の目にじわりと涙が浮かんでいた。
(ああ……閑さんって、本当に優しい人なんだ……)
人は失敗する、けれどやり直せる。
その言葉でどれだけの人を救ってきたのだろう。
小春は目の端に浮かんだ涙を指でそっとぬぐって、
「閑さんの弁護士という仕事は、天職なんですね」
そう言わずにはいられなかった。
すると電話の向こうの閑は、軽く含み笑いをする。
【そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、俺自身、弁護士を目指したきっかけは、他人からしたら大したことない、ちょっとしたことだったんだ】
「え、そうなんですか?」