誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
小春と閑、そして実の母の黎子、父の佑二、義理の母である美保が集まったのは、レストランの営業が完全に終わった後で、夜の十時近くになっていた。
住宅街の中にひっそりと店を構える『プリマヴェーラ』は、四人掛けのテーブル席が三つとカウンター四席の小さな店だが、地元ではたいへんな人気店であり、普段から予約がとれないことでも有名だ。
クリスマスの時期は当然繁忙期なのだが、母と一緒にやってきた小春に『関係ない』とは言うことはできなかったようだ。
さらに黎子に連絡をとり、こうやって閉店後に集まっている。
表にクローズの札を下げて、小春はコーヒーを淹れて配った後、閑と一緒にカウンター席に腰を下ろし、テーブルを挟んだ現在の両親と、出て行ったはずの母を見詰めた。
黎子は緊張した様子ではあるが、しっかりと背筋を伸ばし、元夫夫婦に向かって、空港で小春にしたように、説明をし、頭を下げる。
それを聞いて美保は目をまん丸にした。
「じゃあ、あなたが佑二さんが、会っていた相手?」
「はい。小春のことを知りたくて……私から連絡を取ったんです。大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」