誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

「俺こそごめんね……ビックリさせてごめん」

 そしてそっと体を引き寄せ、とんとん、と背中を叩く。

 その瞬間、またグッと胸が詰まる。
 いたわりに満ちた仕草に、強張っていた小春の心は少しずつほどけていく。

 今度は違った意味で、泣きそうになってしまった。

(大丈夫……大丈夫だ。閑さんが側にいてくれるんだもの。なにがあっても、大丈夫に決まってる)

 つい先ほどまで、息苦しさすら感じていたが、ようやく息が吸えるようになっていた。

 するとそこでようやく、

「小春……ごめんなさい」

 黙って立っていた黎子が、深々と頭を下げる。

「……」

 小春は無言で、母を見あげた。

 なぜ謝られるのか、まったくわからないのだ。

「どういうこと?」
「――実はね、お父さんと会っていたのは、私なの」
「えっ……」

 母の発言に、小春は完全に言葉を失った――。

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