誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「えっ……?」
どう考えても、ご破算になるのが普通だと思うのだが、なぜか閑は同居はすると言う。
「昨晩のこと、なかったことにするなら、同居話もそのまま継続だろ……っていうか、来週からうちに来て」
「はっ?」
「うちの師匠が、昨晩中本さんと電話で話した時に聞いたんだけど、大晦日まで営業をするにしても、少しずつ片付けたいこともあるし、週に三日の営業に切り替えるそうだ。だったら小春ちゃんも、時間ができるだろ? 俺の部屋、またかなりその……散らかって来てるし、家のことを頼みたいんだ」
閑が饒舌に、小春に説明を始める。
そういえば昨晩、槇が大将に電話して、小春が事務所に残ることを伝えてくれたと思うが、その時だろうか。
「――でっ、でも……」
そんなことがあっていいのだろうか。いくらなんでも迷惑ではないだろうか。
小春が即答できずにどうしたものかと、閑から目を逸らして視線をさまよわせていると、
「小春ちゃん」
閑は突然手を伸ばし、ギュッと小春の手を握りしめた。
「頼むよ……俺を助けると思って」