誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「ふぅ……」
小春は一仕事終えたと言わんばかりに、手の甲で額の汗を拭いた。
行ってらっしゃいのやりとりは少し恥ずかしかったが、いつまでも照れてはいられない。
さっそく大掃除へと取り掛かることにした。
「きれいに……なった……!」
時計の針が正午をまわるころ、リビングダイニングは、またモデルルームのように、美しくなっていた。
張り切って窓ガラスまで拭いたので、信じられないくらい空がきれいに見える。
小春は上機嫌になって、窓から外を眺める。
閑は大仕事のように言っていたが、実際やってみると、それほど時間はかからなかった。散らかってはいるが、それほど物の数が多くないのだ。雑誌、新聞などの紙物と、シャツを含めた洗濯物、ビールの空き缶がこの部屋を散らかり放題に見せているだけのようだ。
「そういえば、たまに弟さんが掃除しに来るんだよね。だからそれほど大変なことにはなってないのかも」