誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
神尾の家族構成は知らないが、なんとなく勝手に、人懐っこい閑は弟タイプだと思っていたので、弟の存在は意外だった。
だが、掃除をしに来ると言うくらいだから、兄弟の仲はいいのだろう。
「どんな弟さんなのかな~。やっぱりしゅっとしてるのかな」
そんなことを考えながら、床を拭く。
ちなみに小春が住む予定の部屋は、入り口入ってすぐ左手にある客室で、中はベッドがあるだけだった。シーツをはがして、洗濯物と一緒にまとめる。
洗濯物は全てクリーニングらしい。連絡をすると、部屋までコンシェルジェが取りに来てくれた。閑が依頼していたようだ。特急仕上げで、出来たらまた持ってきてくれるというので、さすが高層マンションは違うと、感心してしまった。
「でもまぁ、バルコニーに洗濯ものは干せないよね……」
美観をそこなうという理由以外にも、高層だと洗濯物の落下は事故につながる恐れがある。だから仕方ないのだろうと思うが、お日様の匂いがする洗濯物をたたむのが好きな小春は、少し残念だった。
あらかたの掃除が終わったので、次は炊事にとりかかる。前もって、生活準備資金として、閑からお金を預かっている。掃除道具含め、必要なものはこれから出してほしいと言われたのだ。