誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「えっ、買い物?」
「うん。明日土曜日に、一緒に行こう」
その日の夜、少し早めの八時ごろに帰ってきた閑は、小春が作った生姜焼きをむしゃむしゃと食べながら、にっこりと笑った。
「うちって最低限の物しかないし。足らないもの、いろいろあるだろ?」
「そうですね……」
小春はうんうんとうなずきながら、頭の中で考える。
「タオルもう少し欲しいです」
どうやら閑はタオルを大量に使う派らしく、すぐにストックがなくなってしまうのである。乾燥器をフル回転させてはいるが、ローテーションに余裕が欲しい。
真面目に答えた小春に、閑はクスッと笑う。
「タオルも大事だけど、主に小春ちゃんの物だよ」
「えっ、私の物?」
「うん。箸とか、マグカップとか……」
そう言いながら、閑はテーブルをはさんで真正面に座る、小春の手元を見つめる。
「そのお茶碗、確か誰かの結婚式の引き出物でもらったんだけど、立派過ぎると思わない?」
「あ、それはちょっと思ってました。この家、普段使いの食器がないなって。朱塗りのお椀とか……洗いづらいんですよね」
小春は持っていたお茶碗を置いて、うんうんとうなずいた。