誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
そして翌朝。十時を過ぎて、小春は閑とふたりマンションを出て、メトロに乗り商業施設へと向かった。
(全然眠れなかった……!)
小春は地下鉄の出入り口付近に立ち、窓の外を眺めながら、唇をかみしめる。
昨晩は、閑の『デートだね』という言葉が気になって、一睡もできなかった。彼にそんなつもりはないとしても、目を閉じれば、今でもにっこりと笑った閑の顔がまぶたの裏に思い浮かぶのだ。
(ああ、罪な人だぁ……わかってるのかなぁ、自分が天然のたらしだってこと!)
閑に親切にしてもらえるのは嬉しいが、一方でそんなことをされてはどんどん好きになってしまうと、怖くなる。
思わず、ふうと息を吐くと、
「小春ちゃん、大丈夫?」
「えっ……?」
驚いて顔をあげると、小春の正面に私服の閑が立っていた。
「もしかして気分悪い? あんまり顔色よくないみたいだけど」
「えっ、ああっ、いえいえ! ものすごく健康です!」
小春は顔を真っ赤にして首を振る。