誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 つい気持ちがトリップしていたが、今まさに閑とお出かけ中なのだ。
 目の前に彼がいて当然だ。意識をとばしている場合ではない。

「そう? ちょっと顔、見せてごらん」

 ビジネスモードではない閑は、ラフでシンプルなカジュアルウェアだった。ネイビーカラーのチェスターコートに、白のタートルニット、黒のスキニーパンツで、シックにまとめている。顔立ちが華やかなので、まるで雑誌の中から抜け出してきたかのようだ。

 一方小春は、ベージュのラメニットに濃い目のピンクのロングスカート、足元は白いスニーカーを合わせて、大判のストールをぐるぐると巻いている。

 買い物に行くのだから多少歩けるようにとスニーカーにしているが、いつもはあまり履かないスカートに、少しだけ緊張もしていた。

 その緊張が、閑には違うように伝わっているのか、手を伸ばして、うつむく小春のあご先を指でもちあげる。

「うーん……ちょっと目が潤んでる気がするな」

 心配してくれているのだろう。

 真面目な顔で、閑は小春の顔を覗き込んでいる。

 だが見つめられる小春は、たまったものではない。


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