誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「どこ空いてるかな……」
小春が少しだけ背伸びをして周囲を見回していると、三十センチ高い閑が、
「窓際、空いてるの発見」
と、得意げに口にした。
「えっ、どこ?」
小春はますます背伸びをしたが、よくわからない。
「ほら、ハンバーガーショップの斜め前の。奥のテーブル」
閑が小春の背後に回って、耳元でささやいた。
「わかる?」
「っ……」
その瞬間、小春は跳ねるように背筋を伸ばしていた。
閑の唇が、耳に触れたような気がしたのだ。
だがそんなはずはない。あくまでも自分が意識しすぎているだけで、閑がここでそんなことをするわけがない。吐息が触れただけだ。
(び、びっくりした~!)
小春はドギマギしながら、閑を振り返らないまま、早口になる。
「わっ、わかりました、席まず取った方がいいですよね! ハンバーガーでもいいかな~!」
小春はいそいそと、空いた席に向かって、椅子に腰を下ろした。