明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
柔らかな笑みを浮かべそう口にする彼は、従業員を抱えるような超上流階級の人なんだとわかった。

だけどそんな人が、私の気持ちに共感してくれるとはびっくりだ。

しかもそんなお金持ちが『足が地についた生き方』って……。
でも、彼の考え方は素敵だと思う。


「それより、急いでいるようだったけど、大丈夫?」
「あっ、忘れてました。失礼します」


待ち合わせている神社に行かなければ。

頭を下げざまに、紙幣を紳士に押し付けて去ろうとすると、腕をつかまれ止められた。

すると、握られた部分が途端に熱を帯びてきて、全身が火照ってくる。

弟の孝義(たかよし)とは手をつないだことはあるものの、男性とこんな接触をしたのが初めてで、激しく動揺してしまう。

「きみの考え方はすこぶる立派だが、これは俺が汚したんだ。どうしても受け取ってくれないのかい?」
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