明治蜜恋ロマン～御曹司は初心な新妻を溺愛する～

中身は伴わない令嬢だけど、一橋の名前を使わせてもらおう。


「わかりました。精いっぱい務めます。ですがパーティなんてどんなものかまったくわからないので、少し教えてください」

「もちろんです。まずは……そうですね。ご挨拶の順序がありまして——」


一ノ瀬さんはテキパキとパーティの流れを教えてくれて、私がどうすればいいのかも指示してくれた。

なんでも、ドレスという洋服を身につける必要があるらしく、これから採寸をするんだとか。

それ以外にもいろいろ聞き、私は行基さんの横で愛想を振りまいておけばいいということだったけれど……。


「一ノ瀬さん、私、行基さんの役に立ちたいんです。手を貸してはいただけませんか？」
「は、はい……」


怪訝な顔をしながらも承知してくれた彼にたくさんの頼みごとをした。


「了承しました。それにしても……行基さんがあやさんは突拍子もないことを言い出すと言っていたのは本当だったんですね」
「どういうことですか？」