明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
どうしても紙幣を受け取れないと思った私は、ついに観念して返事をした。


「どうぞ」


けれども、彼にスッと手のひらを差し出されて、目をパチクリしてしまう。

もしかして、握れと?

人力車くらい、いくら袴をはいていたとしても、ひとりで乗り込めるのに。

そう思ったけれど、もしかしたら女学生はこれが普通なのかもしれないと、恐る恐る手を伸ばす。


「あはは、なんだか変わったお嬢さんだね。こんなことくらい、いつもしているだろう?」


やはり、そういうものなのか。


「そ、そうですわね」


必死に平然とした顔を作り、彼の手に手を重ねると、思いがけずギュッと握られてしまい目が真ん丸になる。

初子さんたちはこれが日常なのよ。動揺しちゃいけないわ。

必死に自分に言いきかせてみたものの、鼓動が速まるのを止められない。

一方彼は、ずっとクスクス笑っていて、なんだか楽しそうだ。
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