明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
こんなに気にかけてもらった経験がないので、そう伝えると……。


「妻の心配をするのは当たり前だ」


そう言いながら彼が机の上の私の手を握るので、ドクンと心臓が大きな音を立てる。


「あ、ありがとうございます」


やはり面映ゆくて視線を合わせずお礼を伝えると、さらに手を強く握られてしまう。


「どこにも行くな」
「えっ?」


ふと顔を上げると、真剣な視線が注がれていることに気がついた。


「俺より先に死ぬことは許さん」


どうして、そんなことを言うの? 
初子さんのことを気にしているの?


「死んだりしません。だって、またお団子を食べたいんですもの」


本当は『あなたのそばにずっといたいから』と言いたかった。

だけど、行基さんの気持ちがはっきりとわからない今、そんなことを口にするのは負担になるかもしれないとためらってしまったのだ。


『愛せないかもしれない』と言われたものの、彼は私をとても大切にしてくれているのは伝わってくる。
だから今はこのままでいたい。
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