明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
私はあふれてくる涙を拭いながら、ねじを巻き始めた。

だってまだずっと続くの。
あなたとの幸福な時間は、この先もずっと——。


それからは、脈や呼吸を確認し汗を手拭いで拭い、血がにじんでくる包帯を取り換えている以外は、彼の手を握り続けていた。


「あやさま。私たちが変わりますから、少しお休みください」


深夜になり、貞ととわが顔を出した。
普段なら眠っている時間だが、皆が行基さんの心配をしていた。


「いえ。苦しいのは行基さんです。私はそばにおります。なにかあれば呼びますから、皆さんは寝てください」


もしこのまま逝ってしまったら……と不安でたまらず、目を閉じることなんでできない。



「行基さん、朝です。目を覚ましてください」


夜中は時々苦悶の表情を浮かべ唸っていたが、とりあえずは落ち着いてきた。

しかし、懇願しても彼は目を開けることはない。


「行基さん……」


心配でたまらず泣きそうになったものの、ぐっとこらえた。
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