明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「さて、次は繕い物でもしようかしら?」


彼の浴衣がほどけていたような。

女中に言うと仕事を取られそうなので、裁縫道具を持ち、こっそりと行基さんの部屋に向かった。



それからさらに十日ほどしたお休みの日。
行基さんの包帯がすっかり取れた。

順調な回復をしているという。

しかし、医者の診察の横で傷痕を目の当たりにしてしまった私は、まだ赤く痛々しく腫れ上がったそれを見て顔をしかめる。


「もう普通にしても大丈夫です。ですが、重い荷物を持ったりするときはお気をつけください」
「世話になりました」


お医者さまが出ていってしまうと、彼は私にチラッと視線をよこす。


「なんだ、その泣きそうな顔は」
「だって……」
「こっちに来てごらん」


少し離れたところに座っていた私は、恐る恐る近づいた。


「見てみなさい。もう傷はすっかり塞がっている」


彼は私の前に腕を差し出してくる。
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