明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「あら、本当ですね」


十五センチほどの切られた筋が赤くなっていたので、まだ皮膚がくっついていないとばかり思っていたが、そうではなかった。


「痕は残ってしまうだろうが……あやは嫌か?」
「えっ?」


どうして私に聞くの?


「あやは、傷を持った俺に抱かれるのは嫌か?」
「だ……」


彼の思いがけない発言に、目を白黒させ言葉が続かない。


「ははははっ。いい反応だ。お前をからかうのはなかなか楽しい」
「行基さん!」


怒ってみせたものの、彼が上半身裸なことを今さらながらに意識してしまい、顔をそむける。

傷のことばかりに目がいって、まったく意識していなかったからだ。


「どうした。顔が赤いな」
「み、見ないでください」


背を向け離れようとすると、うしろからグイッと抱き寄せられてしまう。


「ゆ、行基さん、離してください」

「ダメだ。お前は鳥のように飛んでいってしまいそうだからね。俺のかごの中にはとても収まりきらない」
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