明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
本当、に? それじゃああなたは、私のことをまだ?


「そう、だったのか……。それで思い悩んでお前は出ていったのか。本当にすまない。また苦しめてしまったんだな」


彼は私をもう一度腕の中に閉じ込める。

私はしばらく呆然としていた。

だって涙が枯れつくすまで泣き、ひとりで生きていく覚悟をして……気が狂いそうになるほどつらい時間だったので、それが嘘だったと知ってもうまく状況を呑み込めない。


「章子が離縁したのは……実は旦那の暴力が原因なんだ。相手は貿易商の男で親同士が決めた縁談だったんだが、章子を奴隷のように扱い、虫の居所が悪いとすぐに手を上げるようなひどい男だった」

「そんな……」


ひどく驚いた私は、彼から少し離れて顔を見上げる。

女に手を上げるなんて最低だ。
しかも、自分の妻に。


「それを知った俺や信明が離縁できるように動いていたんだが……。なかなか応じてもらえず、仕方なく金を積んだ」
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