明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「私だって……行基さんが他の女性に目をやったらつらいんです。耐えられなんです。ましてその人との間に子ができたと聞いたら——」

「なんの話だ?」
「えっ?」


章子さんが懐妊したことを知らないの?

そんなわけないよね。
だって黒岩さんだって知っているのだから耳に入っているはずだ。


「あや、なんの話をしている?」
「だって、章子さん……」
「章子?」


彼は首を傾げ、私を凝視する。


「章子はたしかに懐妊したようだが、まさか、俺の子だと思っているのか?」
「違うんですか?」


驚きすぎて大きな声が出てしまう。


「当たり前だ。女は生涯お前だけでいい。章子は妹のような存在だと言わなかったか?」

「だって章子さんが、行基さんの子だと。お慕いしていて妾としてそばにいさせてほしいと……」


私が言うと、彼は天を仰ぐ。


「それはすべて嘘だ。そもそも章子は信明と……。はー、まったく……少々甘やかしすぎたらしいな。きつくお灸をすえなければ」
「嘘?」
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