明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
私はクスクス笑う彼の手を強く握り返した。
すると彼は、小さくうなずいてくれる。
「でも、あやが突然消えて、一瞬最悪の事態が頭をよぎった。やはり運命にはあらがえないのかと落胆した。だが、お前は絶対に生きているとすぐに思いなおした」
「それはどうしてですか?」
尋ねると、彼は「うん」と相槌を打ってから口を開く。
「お前の前向きな姿を見てきたからだろうな。絶対に死を選択するような女ではないと。俺の好きな女は、生命力のある強い女だと信じて探し続けていた」
津田の家を飛び出したときは、不安しかなかった。
これですべて終わったと、不幸の始まりを感じてしまった。
けれどもたしかに、いつか寿命が尽き再び生まれ変わることがあれば、また行基さんと出会いたいとは思ったものの、“死”を思うことはなかった。
初子さんは自分の気持ちを昇華するために愛する人との死を選んだけれど、私は生きることしか考えていなかった。
すると彼は、小さくうなずいてくれる。
「でも、あやが突然消えて、一瞬最悪の事態が頭をよぎった。やはり運命にはあらがえないのかと落胆した。だが、お前は絶対に生きているとすぐに思いなおした」
「それはどうしてですか?」
尋ねると、彼は「うん」と相槌を打ってから口を開く。
「お前の前向きな姿を見てきたからだろうな。絶対に死を選択するような女ではないと。俺の好きな女は、生命力のある強い女だと信じて探し続けていた」
津田の家を飛び出したときは、不安しかなかった。
これですべて終わったと、不幸の始まりを感じてしまった。
けれどもたしかに、いつか寿命が尽き再び生まれ変わることがあれば、また行基さんと出会いたいとは思ったものの、“死”を思うことはなかった。
初子さんは自分の気持ちを昇華するために愛する人との死を選んだけれど、私は生きることしか考えていなかった。