明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「行基さん?」
「医者が、体を冷やしてはいけないと言っていただろう? あやはいつも手足が冷たい」


そう言うと、私の首の下に腕を差し入れて抱き寄せ、自分の足の間に私の足をはさむ。 

毎日の習慣がこうして戻ってきたかと思うと、感慨深いものがある。

しかし、彼は夜のように浴衣姿ではなくズボンをはいているので、直接素肌に触れられなくて、少し残念だ。

って、私ったらなんとはしたないことを。

だけど、彼の体温を感じているとたまらなく安心するから仕方がない。
夜は思う存分甘えよう。


「しばらくはお預けか……」
「なにがですか?」


なにか妊婦は食べてはいけないものがあるの?


「なにがって……お前をかわいがることに決まっているだろう?」
「え……」


それは肌を重ねることを言っているの?


「なにを驚いているんだ。愛を深めるためには必要な行為だぞ?」
「そ、そうですけど……」


たちまち速まり始めた鼓動を彼に知られたくない。
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