明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「あや、頬が赤いが?」
「み、見ないでください」
「あはは」


またからかわれた。


「大切な俺たちの宝のためだ。まあ、仕方ない」


彼は私のお腹に手を伸ばしてきて触れる。


「男の子かな。それとも女の子?」
「どっちでもいい。健康でお前に似た元気な子であれば。あっ、いや……もう少しおとなしくてもいいな」
「もう!」


私が口を尖らせると、彼はクスッと笑う。

あぁ、幸せだ。
こうして他愛もないことを言いあって、大好きな人の笑顔を見ていられるなんて。


「あや、愛しているよ」


彼は愛を囁き、私の額に唇を押し付ける。
そしてまぶたに、頬に……唇に。


「んっ……」


どんどん深くなっていく口づけは、甘い媚薬となり私の心を痺れさせる。


「はっ、だめだ。我慢できなくなる」


ようやく離れてくれた彼は、もう一度私を強く抱きしめた。


「あや、疲れているだろう? 少し眠って」
「……はい」


彼の腕の中が心地よくて安心したのか、目を閉じるとすぐに眠りに落ちてしまった。
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