明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
けれども、今さら沈んでいても仕方がない。
いつか彼に『やはり好きになった』と心変わりしてもらえるように努力を重ねるしかない。

それに好きでもない私に『楽しくやりたい』と言ってくれているんだ。
こんなに贅沢なことはない。


「お茶を淹れます」
「うん。頼む」


気持ちを入れ替えそう告げると、彼はスッと離れていく。

ようやく呼吸が楽になった私は、湯呑にお茶を注いで彼に差しだした。


「どうぞ」
「ありがとう」


するとそのとき、指先と指先が触れてしまい、ハッとする。

どうしよう。
初子さんとならポンポンものを言いあえたのに、行基さんとどんな話をしたらいいのかすらわからない。


「あやも飲みなさい」
「はい。いただきます。……熱っ」


彼との会話のことばかり考えていたからか、お茶が熱いことを気にせず喉に送ってしまった。


「大丈夫か?」


すると彼は慌てて私の隣までやってくる。
そして「舌を出して」と私に命じた。
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