明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「平気ですから」


本当はじんじんとしているが、彼の前で舌を出すなんてことできるはずもない。


「俺の言うことは絶対だと言っただろう? 早く」


強めに促されてしまい、仕方なく口を小さく開いて舌の先だけ出した。


「ダメだ。もっと大きな口を開け」


彼はそう言うと私の顎に手をかけ、グイッと持ち上げる。


「早くしなさい」


どうやら逃れられないと悟った私は、思い切って舌を出してみせた。


「はー、どうやらひどくはなさそうだ」


行基さんはようやく安堵の声を上げた。

舌を引っ込めたものの彼は顎から手を離してくれない。

それどころか、私の目を至近距離で見つめ「あや」と色気を纏った声を吐き出す。


彼の瞳に自分が映っているのに気づき、心臓が破れてしまいそうなほどに鼓動が速まる。

やけどをしたのは舌のはずなのに、全身が火照ってしまう。


「まったく。そそっかしいお嬢さんだ。気をつけなさい」


彼はそんなことを口にしながら、私に熱い視線を送り続ける。
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