明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「顔を見合わせて笑いあったり、大切なものを分けあったり……そうした喜びは心を豊かにします。それが蓄積されていくと、今度はその幸せを誰かに分けてあげたくなります」


初子さんは私にたくさんの喜びをくれた。
父や母にぞんざいに扱われても、彼女のおかげで幸せだった。


「そうすると、今度はその人が別の人に分け与えて……どんどん幸せが広がっていくんです。それに、いつかそれが自分のところに戻ってくるような気がして」

「連鎖していくということか。そんなふうに考えたことはなかったな」


彼は今度は体まで私のほうに向け、尋ねてくる。


「そうです」
「だが、初子さんは亡くなった。彼女は俺と出会って不幸になった」


その言葉を聞き、ハッとした。
もしかして行基さんは、初子さんが亡くなったのが自分のせいだと思っているの?


「初子さんは不幸なんかじゃありません。そりゃあ、生きていてほしかったです。でも、周防さんと一緒過ごした日々は幸せだったんです。初子さんの幸せを否定しないでください」
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