キンダーガーテン三　　　～それぞれの居場所に～
「…………………………すまなかった。」

土下座をするお父さん。

そんな姿が見たかった訳じゃないのに………。

いつものように凛として、否定してよ…………。

「あの女の人の子供は………………俺の子供じゃない。」

えっ！？

お父さんの発言に、全員が顔を上げる。

「ウソ！！
お父さんと女がアクセサリーを買いに行くのも
妊娠して、産婦人科に行ったのも見たんだから。」

「あれは…………部下との子供だ。
彼女と俺の部下は……２年付き合って結婚間近だった。
一番幸せな時…………彼は俺の命令で行った会議の帰り………
事故に巻き込まれて、亡くなった。
俺は………償いのために彼女を全力で支え、守った。
後追い自殺まで考えていた彼女だったが…………
２ヶ月後に………妊娠が分かった。５ヶ月だったよ。
たぶん、その時尋は彼女を見たんだと思う。
忘れ形見のお陰で、彼女は元気を取り戻した。
生きる希望が持てたから。
ただ、やはりまだ不安定で………支え続けていくうち
彼女は俺と部下を重ねて見るようになってきたんだと思う。
彼と手に入れるはずだった幸せを、俺を通して見るようになった。
子供に『パパ』と呼ばせようとする辺りから、マズイのか？と思っていたが……
今回、もう一度家族でやり直すに当たって………
離れる話をしたところ………キレてしまった。
二人には、怖い思いをさせてしまい…………本当にすまなく思っている。」

「だったら、アクセサリーを買いに行った時は？？」

尋ちゃんの詰問に

「彼女は……家族がいない。
彼女も彼も、俺の部下だった。
結納のお返しの時計を一緒に買いに行ったんだ。」

「…………………そんな……………。
あれ程悩んだのに…………………。」

尋ちゃんの涙は………胸を締め付けられる。

どうしてこんな事になったんだろう。

みんなが……もう少し寄り添って話し合えていたら…………

こんな事にはならなかったはずなんだよね。

シクシク泣くお母さん。

「私が………ちゃんと話を聞いていれば……………」

たぶんお母さんの浮気は………

お父さんに裏切られたと思ったから。

夫婦だったら、相手の変化に気づくよね。
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