キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
みんなが帰って、先生と二人になると

やっぱり……梓ちゃんがいない幼稚園が……淋しくなった。

幸せになって欲しいのも本音。

でも…………

離れたくないのも……………やっぱり本音。

「うん??淋しい?」

唯の気持ちが、手に取るように分かる先生は………そう言って笑う。

「梓ちゃんの幸せが、素直に喜べないなんて………最低だよね………。」

落ち込む唯に

「唯ちゃんは、それでいいんだよ。
"おめでとう!!"って喜ばれたら……梓先生、かえって悲しむよ。
"淋しい"って、言われた方が………嬉しかったはずだよ。」って言いながら

いつものように、抱きしめる。

「むしろ、唯ちゃんが"結婚します"って言う時の方が
みんなの反応が………見ものだよ!
唯ちゃんの落ち込みなんて、非じゃない程落ち込むはずだから。
オレ………刺されないかなぁ~」ってクスクス笑ってる。

もう~

でも、先生のお陰で………今回も元気になっちゃった。

先生の隣にいたら………何があっても………大丈夫だね。

梓ちゃんが……お嫁さん。

まだ、ピンとこないけど…………

彼氏さんの事が、本当に大好きなことは……みんなが知ってる。

オーストラリアって………とっても遠いし………言葉も違うから

不安もいっぱいあるはずだけど………

それでも一緒にいたいって思ったんだから、大丈夫だね。

いつか唯も、何の迷いもなく『先生のお嫁さんになる!』って言う日が

来るのかなぁ~

先生と二人で歩く未来………

もしかしたら………そう遠くないのかも。

だって…………

梓ちゃんじゃないけど……

お父さんとお母さんの結論が出て、このお家から離れる日が………怖いんだもん。

ずっとず~っと…………先生と一緒にいたいって思ってるんだぁ。

……………………でも……………

結婚となると…………ちょっとまだ決心がつかなくて……………。

ワガママだよね。
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