キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
「唯ちゃん、こんにちは。
今日は一人??珍しいね!」

この人は、商店街のパン屋のお兄さんで………洋介さん。

先生と飲み仲間で、彩ちゃんのお兄さん代わりらしくて……

見かけたら、時々声をかけてもらうの。

男の人が苦手な唯の事を、理解してくれてるみたいで……

絶妙な距離を取って貰えてるから、安心できるの。

それに、佐藤先生からセクハラを受けていた時に………助けてもらったんだ。

駅前で佐藤先生に捕まった時に、庇ってお店に連れていってくれて

先生にバレちゃうと大事になるって……不安になってたら

彩ちゃんに連絡してくれたの。

何も話してないのに…びっくりするくらい唯の気持ちが伝わる人なんだ。

先生とは全然違う意味だけど………信用できる大人の男の人なの。

それと!!これは唯の心の中におさめてることなんだけど………

洋介さんって………彩ちゃんが好きなの!!

もちろん、誰にも話さないし………唯だけの秘密なんだけどね!

たぶん、唯が気づいてるなんて……洋介さんだって知らないよ!!

ただ…………………。

知ってる分…………今日、洋介さんに逢うのは………辛いなぁ~

片思いのツラさは、唯も知ってるもん。

唯は運良く、先生とお付き合い出来たけど…………

洋介さんは………失恋決定なんだよね………………。

洋介さん……………可哀想………………。

そう思うと……………自然に涙が出てくる……………。

「ヒッ…………ウウッ…………ヒック…………」

突然泣き出した唯に………

「えっ!!唯ちゃん、どうした???
えっと………あっ!!どこか痛い???悠人呼ぶ???」って。

『違う違う。』と首を振るのに………全然伝わらない。

「取り合えず、店に行こう。」

慌ててお店に戻る洋介さん。

何か用事があったんじゃないのかな??
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