ワケあり王子のオトし方
「いやいや! そうだねって、そんな冷静に…っ」
「うん? だって冷静だから」
「冷静なのは理解したよ! けど、だからと言って、あんな事を言わなくたってっ…」
「あんな事、ね」
超が付くくらいに低い声が、慌てふためく私を制した。
何か嫌な予感がしたのか、鼓動が加速する。
変なおじさんに遭遇した時のように、心臓がドクドクと脈打っている。
「あんな事、じゃなくて、名案だと思うよ? 並木さん」
西園寺は前髪を搔き上げると、ふわりと笑った。
それは、いつもの笑顔じゃなかった。上手く言葉で表せないのだが、女子生徒を虜にしてきた輝きが見えないのだ。
「ーー俺と並木さんは、学園一の美少年と美少女。誰もが羨む理想のカップルであり、この上ない組み合わせだ」
「さ、さ、さささっ…」
西園寺くん、という言葉は、ヤツの手のひらに塞がれて声にならなかった。