ワケあり王子のオトし方
「良いよね? 並木さん。俺のことを狙っていたんだろう?」
西園寺は取り敢えず逃げようと考えた私を見透かしたのか、私の両手首を片手で掴み、壁に押し付けた。
「よ、良いって、何がよっ…!?」
「偽装カップル」
「良いわけあるかーっ!!」
秒速で返事をした私は、一刻も早く逃げなければとひたすらに暴れた。だが、男である西園寺には力で勝てずに、捕らわれたまま。
「ふうん? じゃあ君が清純で可憐な美少女のフリをしているの、バラしてもいいのかな?」
「そ、そんなの、誰も信じなっ…」
西園寺はこの上ない美しい微笑みを飾ると、私の耳元で囁くように言った。
「品行方正、学業優秀、非の打ち所がない完璧な生徒と、マドンナ気取りの腹黒女。生徒はどちらを信じるだろう?」
「もちろん私を、」
「君はおめでたい頭をしているね。心の底から尊敬するよ」
「それはこっちの台詞よ! 自分で自分のことを褒めるだなんてどんだけナルシストなの!? 気持ち悪い!」