ワケあり王子のオトし方
爽やかな笑顔でサラッと凄いことを言う西園寺に、私は流石にイラっとした。
くそぅ、西園寺め。地球並みに広い心を持っている私に向かって、酷いことを言いやがって。
私は黄色い声を上げる生徒たちを横目に見ながら、西園寺の耳元に口を寄せ、二人しか聞こえないくらいの小さな声で囁いた。
「…絶対にギャフンと言わせてやる」
西園寺は完璧な王子スマイルを浮かべると、私の顎を指でくいっと持ち上げ、今にも息が掛かりそうな距離で呟く。
「ふぅん? どう足掻いても無理だと思うけれど」
「美女に不可能なんてないわ」
「ははっ、そこまで言うなら見せてもらおうかな」
そう言うと、西園寺は私を生徒たちから見えないように立つなり、私の頰に唇を寄せた。
その瞬間、生徒たちは瞬く間に顔を赤らめ、声にならない声を上げる。
ーーキスをするフリを、したのだ。
「楽しみにしてるよ。ーー並木さん」
「ふふっ、楽しみにしてて?ーー西園寺くん」
(…ガクガクと膝を震わせているクセに、よく動くお口ですこと)
その精神力、褒めてあげるわ。